令和8年度の国民年金保険料は、月に17,920円となっています。
ひとり親やシングルマザーの方は、「支払いが厳しい」と感じている人も多いのではないでしょうか。
国民年金には、所得が少ない人向けに保険料の支払いが全額免除される制度があります。
今回は、シングルマザーが国民年金を免除できる条件と、免除すると老後の年金はどうなるのかについて、まとめてみました。
シングルマザーは国民年金を免除できる?
結論から言うと、所得が一定以下であれば、シングルマザーも国民年金保険料の免除を受けられます。
なかでも、住民税が非課税の世帯の人は、ほとんどの場合「全額免除」になると言われています。
ただ、ここで気をつけたいことがひとつあります。
それは、「シングルマザーだから払わなくていい」というわけではないということです。
免除になるかどうかは、あくまで所得によって決まります。同じシングルマザーでも、所得が基準を超えていれば免除にならないこともあります。
国民年金は何円まで免除される?
国民年金は、所得や状況によって免除される割合が異なります。
免除される割合は全部で4種類あり、令和8年度の保険料の場合、それぞれ納める金額は以下のとおりです。
| 免除される割合 | 納める金額(令和8年度) |
|---|---|
| 全額免除 | 0円 |
| 4分の3免除 | 4,480円 |
| 半額免除 | 8,960円 |
| 4分の1免除 | 13,440円 |
全額免除なら0円ですが、所得によっては「4分の3」「半額」「4分の1」のいずれかとなります。
年金が全額免除になる条件
「年金が免除になるのはわかったけど、どのくらいの所得なら免除になるの?」という点が、いちばん気になるところかと思います。
まず、免除の判定は「前年の所得」で行われます。お給料の年収ではなく、収入から控除を引いたあとの「所得」で見る点に注意してください。
ひとり親なら、前年の所得135万円までが目安
シングルマザーの多くは、税法上の「ひとり親」に当てはまります。ひとり親に当てはまる人は、前年の所得が135万円以下なら全額免除の対象になります。
これは、ひとり親で所得が135万円以下の場合は住民税が非課税になり、それにあわせて国民年金も全額免除になるためです。まずはこの135万円という金額を、ひとつの目安にしていただけたらと思います。
子どもが多い場合は、上限がもう少し上がることも
子どもを2人以上扶養している場合などは、次の計算式で求めた金額のほうが高くなることがあります。その場合は、有利なほうで判定されます。
(扶養している家族の数+1)×35万円+32万円
この式で計算すると、全額免除になる所得の上限は次のようになります。
| 扶養している家族の人数 | 全額免除になる前年の所得の目安 |
|---|---|
| 扶養家族なし(単身) | 67万円まで |
| 子ども1人 | 102万円まで |
| 子ども2人 | 137万円まで |
| 子ども3人 | 172万円まで |
たとえば子どもが1人の場合、計算式では102万円ですが、ひとり親の135万円のほうが高いので、135万円までが目安になります。
子どもが2人以上になると、計算式のほうが上回っていきます。
全額免除にならない場合も一部免除となる可能性がある
全額免除にならない場合でも、所得に応じて一部免除を受けられる可能性があります。一部免除となる所得の目安は、以下のとおりです。
・4分の3免除……前年の所得 88万円
・半額免除……前年の所得 128万円
・4分の1免除……前年の所得 168万円
(※このほかに各種控除も加わります)
なお、所得の審査は本人だけでなく、世帯主の所得も対象になる点にも注意してください。
たとえば、ご実家でご両親と暮らしていて、世帯主が親になっている場合は、親の所得も見られることになります。自分の所得は少なくても、同居している家族の所得によっては免除にならないこともあります。
ここでご紹介した金額はあくまで目安です。実際に免除になるかどうかは、お住まいの市区町村の役所か年金事務所で確認するのが確実です。
免除すると老後の年金はどうなる?
年金の免除を受けると負担は軽くなりますが、「将来もらえる年金は減ってしまうの?」と不安な方も多いのではないでしょうか。
「どうせ減ってしまうなら、未納と同じじゃない?」と、考えてしまうかもしれません。
ここはとても大切なので、ていねいにお話ししますね。
まず知っておいてほしいのは、「未納」と「免除」はまったく違うということです。
保険料を払わずに放っておく「未納」は、その期間の年金がまるごと「ゼロ」になってしまいます。さらに、万が一のときの障害年金や遺族年金が受け取れなくなることもあります。
一方で「免除」は、きちんと手続きをしていれば、その期間も年金に反映されます。障害年金や遺族年金を受け取るための資格も、そのまま続きます。
たとえば全額免除の場合でも、その期間は満額の半分(2分の1)が将来の年金に反映されます。0円になるわけではないのです。
免除の区分ごとに、将来受け取れる年金にどのくらい反映されるかの目安は、次のとおりです。
・全額免除……満額の2分の1
・4分の3免除……満額の8分の5
・半額免除……満額の4分の3
・4分の1免除……満額の8分の7
ちなみに、令和8年度の老齢基礎年金(満額)は、月に70,608円です。
このように、免除は「年金が減るから損」というよりも、払えないときに未納を防いで、将来の年金や万が一の備えを守るための制度だと考えていただけたらと思います。
免除した分は、あとから追納もできる
免除を受けた期間の保険料は、10年以内なら、あとから納めることができます。これを「追納(ついのう)」と言います。
追納をすると、その期間も保険料を納めたものとして計算されるので、減っていた老後の年金を取り戻すことができます。
ただ、免除を受けてから3年目以降に追納する場合は、当時の保険料に少しだけ上乗せして支払う必要があるため、追納を検討している方は早めがおすすめです。
なお、追納は「絶対しなければいけない」という決まりはありません。
追納する代わりに、その分のお金をiDeCoで運用するという考え方もあります。運用がうまくいけば、追納よりも受け取れる金額が増える可能性もあると言われています。
どちらが正解ということはないので、子育てが落ち着いて少し余裕ができたころに、追納するか、その分をiDeCoにまわすか、ゆっくり考えていけたらいいですね。
国民年金免除の申請方法
国民年金の免除は、次の流れで申請します。
- 役所・年金事務所、またはマイナポータルで申請する
- 約2~3か月で結果の通知が届く
- 免除が開始される
まず、お住まいの市区町村の役所か年金事務所で手続きをします。最近は、マイナポータルからオンラインで申請することもできるようになりました。
申請をすると、約2~3か月後に結果の通知が届きます。
国民年金保険料の払込用紙を持っている人は、申請後の納付分について、結果が出るまでは支払わないようにしてください。先に払ってしまうと、免除が決まっても戻ってこない場合があります。
免除を受けるときの注意点
国民年金の免除には、いくつか注意したい点があります。
毎年、申請の手続きが必要
国民年金の免除は、基本的に毎年申請が必要です。
免除が適用されるのは、その年の7月から翌年6月までなので、続けて免除を受けたい場合は、翌年もまた申請をします。
ただし、所得が増えていないと判断された場合は、手続きをしなくても自動で更新されることもあります。
厚生年金に加入している人は対象外
会社員の人や、社会保険ありで働いているパートの人は、厚生年金になるため、この免除制度の対象外です。
厚生年金の保険料はお給料から天引きされる形になるため、免除という仕組みはありません。
免除を受けている間はiDeCoに加入できない
国民年金の免除を受けている期間は、iDeCoに加入することができません。
iDeCoを始めたい場合は、国民年金を納めている必要があります。
よくある質問(FAQ)
- シングルマザーなら必ず全額免除になる?
-
いいえ。免除になるかどうかは前年の所得で決まります。シングルマザーでも、所得が基準を超えていれば免除にならないこともあります。
- シングルマザーはもらえる年金が少ないの?
-
「シングルマザーだから少ない」と決まっているわけではありません。年金額は、これまで国民年金と厚生年金のどちらに、どれくらいの期間加入してきたかで決まります。
国民年金だけの場合は満額でも月7万円(令和8年度)ほどですが、会社員として厚生年金に入っていた期間があれば、その分が上乗せされます。 - 免除すると将来の年金はどのくらい減る?
-
全額免除の場合、その期間は満額の半分(2分の1)が将来の年金に反映されます。未納とは違い、ゼロにはなりません。
- 自分がもらえる年金はどうやって調べたらいい?
-
毎年、誕生月に届く「ねんきん定期便」や、「ねんきんネット」で確認できます。ねんきんネットはマイナポータルと連携すると、これまでの記録や将来の見込み額を見ることができます。
国民年金の免除まとめ
シングルマザー・ひとり親の国民年金免除について、まとめました。
今回の大事なポイントは、次の4つです。
- 所得が一定以下なら、全額免除になる場合がある
- 役所・年金事務所・マイナポータルで申請できる
- 免除した期間も将来の年金に反映される(未納とはまったく違う)
- あとから追納できるが、必須ではない
国民年金の支払いに困っているときは、未納のままにせず、免除の申請を検討してみてください。
もし払える余裕があるなら、できるだけ納めておいたほうが、老後の年金は手厚くなります。
今の暮らしと老後のバランスを見ながら、無理のない形で続けていけたらいいですね。

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