小規模企業共済は節税対策としてお得な制度ですが、自分が積み立てた範囲内で借り入れることもできます。
「事業資金を借り入れたいけど、実際どうやるの?」「手続きは面倒?」と感じている人、結構多いのではないでしょうか。
私も借り入れる前は不安だったのですが、実際やってみると、意外にスムーズに借り入れることができました。
これから借入を検討している方の参考になればと思い、実際の流れを紹介します。
小規模企業共済の借入制度とは?
小規模企業共済の借入制度(共済契約者貸付)は、小規模企業共済に積み立てた金額の範囲内で、低金利で資金を借りられる制度です。
事業者向けのローンと異なり、審査は不要。フリーランス・個人事業主向けの制度なので、加入していれば使えます。
借入には「一般貸付」と「特別貸付」の2種類があり、一般貸付であれば用途は問われません。
事業に必要な運転資金でも、生活資金でも、車の購入費でもOKです。
私の場合、今回は生活用の車の買い替えのため、一般貸付を利用してみました。
借入できる金額と利率
借入できる金額は、納付した掛金の7〜9割の範囲で、10万円〜2,000万円(5万円単位)です。
掛金の納付月数が長くなるほど、借りられる割合が増えていきます。
そして気になる利率ですが、現在は以下のとおりです(2026年5月時点)。
| 種類 | 利率 |
|---|---|
| 一般貸付 | 年1.5% |
| 特別貸付 | 年0.9% |
消費者金融の金利が年3%~18%程度、車のディーラーローンが年3%〜8%程度であることを考えると、かなり低金利と言えます。
実際に借り入れる手順
ここからは、私が実際に借り入れたときの手順と流れを紹介します。
今回は、30万円ほど借り入れました。
①中小機構から届く郵送物を確認
中小機構から年に2回ほど、「掛金納付状況及び貸付限度額等のお知らせ」という書類が届きます。
この書類があると、自分が今いくら借りられるかが一目でわかって便利です。
ただ、お知らせが手元になくても、契約番号がわかる書類(掛金払込証明書など)があれば借入はできます。
「いくら借りられるか先に知りたい」という方は、中小機構に電話で問い合わせると教えてくれます。
②借入に必要なものを用意する
借入時に必要なものは、以下のとおりです。
【借入時に用意するもの】
・契約番号がわかる書類
・印鑑証明書
・実印
・本人確認書類(運転免許証など)
・収入印紙(借入金額によって金額が変わる)
印鑑証明書は、事前に市区町村に実印登録をして「印鑑登録カード」を受け取っておけば、わざわざ役所などの窓口にいかなくてもコンビニのマルチコピー機で発行できます。(マイナンバーカードと暗証番号が必要です。)
ただし、引っ越しで市区町村が変わると登録は引き継がれないので、引っ越し後に新しい自治体で登録し直しが必要になります。
収入印紙は借入金額によって異なり、必要な額は以下のとおりです。
| 借入金額 | 収入印紙の額 |
|---|---|
| 10万円 | 200円 |
| 15万円~50万円 | 400円 |
| 55万円~100万円 | 1,000円 |
| 105万円~500万円 | 2,000円 |
| 505万円~1,000万円 | 10,000円 |
| 1,005万円~2,000万円 | 20,000円 |
③貸付窓口に行く
準備ができたら、借入窓口で手続をします。なお、借入窓口は、人によって違います。
「掛金納付状況及び貸付限度額等のお知らせ」の「貸付が受けられる金融機関」欄に書いてあるので、まずはそこをチェックしてみてください。
商工組合中央金庫(商工中金)、銀行、信用金庫など、登録している金融機関によって変わります。
私の場合、ここで失敗しました…。
「掛金納付状況及び貸付限度額等のお知らせ」を見ておらず、ネットで調べたら「銀行でも借りられる」と書いてあったのでとりあえず銀行にいきました。
ですが、「うちでは取り扱っていません」と言われ、改めて確認して商工中金に行き直すという二度手間に。
申込情報によって窓口が違うようなので、自分の窓口がどこかをあらかじめしっかり確認してから行くことをおすすめします。
それから、窓口は予約しておくのが安心です。私は予約無しで行ったところ、案の定待たされました(当たり前ですね)。
店舗によっては予約制になっているところもあるみたいなので、事前に電話で確認してから行くといいと思います。
商工中金で借りる場合、午後2時までに手続きを始めれば当日中に現金を受け取れます。
商工中金以外の金融機関だと、借入金の交付までに2〜3日かかることもあるそうです。
④申込書記入・タブレットで入力
窓口に着いたら、申込手続きが始まります。
私のときは紙の書類ではなく、タブレットで入力していくスタイルでした。
借入額や返済期間などを案内に従って入力していくだけだったので、難しい操作はなかったです。
⑤その場でお金を受け取る
必要事項を入力し、手続きが完了すると、その場で現金を受け取れます。
注意点として、小規模企業共済の借入は利息が前払い方式なので、借入額から利息分が差し引かれた金額が手渡しになります。
つまり、30万円を借りるなら、実際に受け取れる金額は30万円から利息を引いた金額ということです。
今回は金利が1.5%だったため、利息は4,500円。窓口で受け取ったお金は295,500円でした。
「必要な金額ちょうど借りたら、足りなくなった」とならないように、利息分を考慮して借入額を決めるといいと思います。
小規模企業共済で借入するメリット・デメリット
メリット
小規模企業共済で借入するメリットは、以下が挙げられます。
借り入れるメリットは、何と言っても金利の安さです。審査無しですぐ借りられるため、急に資金が必要になっても安心ですね。
一般貸付なら、用途は事業資金でも生活資金でも構いません。さらにいうと、借り入れたお金で資産運用するという方法を紹介している専門家もいるそうです。
また、返済期日が来ても、後ほど解説する「同額借換」という方法を使えば、実質的に返済期間を延ばすことも可能です。
デメリット・注意点
小規模企業共済の借入制度は便利ですが、以下の注意点もあります。
借入手続きはオンラインではなく窓口で対面で行われるため、仕事の都合で平日に窓口にいけない人は利用しにくいと思います。
ただ、窓口で受付の方に話を聞いたところ、現在は貸付もオンライン化を進めているそうです。将来的には窓口に行かなくても手続きできるようになるかもしれません。
貸付利率は情勢によって変わるため、今後変動する可能性もあります。
また、返済が遅れると年14.6%の延滞利子が発生します。通常の利率よりかなり高いので、計画的に返済していくことが大切です。
借入金を返済する方法
借入金の返済方法は、借入期間によって変わります。
| 借入期間 | 返済方法 |
|---|---|
| 6か月/12か月 | 期限一括償還(返済日にまとめて返済) |
| 24か月/36か月/60か月 | 6か月ごとの元金均等割賦償還 |
借入時に「金銭消費貸借契約証書」がもらえるので、返済期日はそこに書いてあります。
割賦償還の場合は、後日「ご返済予定表」も送られてきます。
返済期限を過ぎても借り入れたい場合、「同額借換」という手続きをして、窓口で利息分の金額を支払えば借り続けることもできます。
同額借換は小規模企業共済の会員であれば何度でもできますが、その場合は借換え時の貸付限度額の範囲内のみとなります。
小規模企業共済の貸付に関するよくある質問
- いつまでに返したらいい?
-
借入時にもらう「金銭消費貸借契約証書」に返済期日が記載されています。借入期間は6か月から60か月まで、借入金額によって選べます。
- 借入期間を延長できる?
-
契約自体の延長はできません。ただし、新たに借り換える「同額借換」という手続きで、実質的に返済期日を延ばすことができます。
- 借入金を返済したら、また借りられる?
-
貸付限度額の範囲内であれば、何度でも借入が可能です。
- 複数の貸付を同時に借りられる?
-
一般貸付と特別貸付など、種類の違う貸付を同時に借りることも可能です。ただし合計額は限度額の範囲内です。
- 借り入れたまま解約したらどうなる?
-
解約時に借入残高があると、解約手当金から相殺されます。
まとめ
小規模企業共済の借入は、低金利・審査無し・即日OKという、フリーランスにとってかなり強い味方になる制度です。
初めての借入は緊張しますが、事前に下調べをしておけば、当日は意外とすんなり終わります。
無理のない資金計画を立てて、必要なときに上手に活用していきましょう。

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